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日本の山林所有権の現状と相続のリアル

山林所有の相続問題で、とにかく困っておられる地権者様が多いんです。

金沢の風力開発プロフェッショナル集団
リアル・デベロップメント株式会社です。

日本全国で増え続ける所有者不明問題

土地所有者の居所や生死が判明しない、「所有者不明」問題が、風力開発の現場でも大きな課題になっている。

先祖は林業をやっていたが亡くなったあと、山林を管理する人がいなくなり、親族も山を離れ都会で暮らすようになり、さまざまな理由で相続されないまま長い年月が経過していく。そんな土地が年々増加している。

相続されていない土地であっても、固定資産税は役場等でしっかり管理されており、親族が毎年支払っているのが実状だ。
しかし、広大な山林を相続する場合は、相続税も巨額になる場合もあり、『登記をしなくても何も困らない』ため、相続登記が長年放置されているケースも多い。また、相続手続きにおいては、一部のみの相続という形はできず、すべてを一括で相続する形になることも一因である。(山林所有地のみならず住宅等の不動産等も)

相続登記の手続きは、土地の売却や賃借、借り入れをするために抵当権を設定するといった、必要性が生じたときに行われることが多い。
地域で農業用水路や農道などの整備を進める場合や風車建設用地としての整備を進める場合の、権利移転のために登記が必要となったときなども、手続きが進むきっかけになる。

そして、山林が放置状態で価値を生まなかったものが、再生可能エネルギーを生み出す形に変わると、家族間の相続手続きにおいてもさまざまな軋轢が表面化することも多い。

林野庁の共有者不明森林・所有者不明森林への取組み

山林における必要な経営管理を実施するため、森林経営管理法で、特例措置を講じている。

出典:林野庁HP

その内容は、市町村が経営管理が行われていない森林等について、必要かつ適当と認められる場合には、森林経営管理法に基づいて経営管理権集積計画を定め、森林所有者から委託を受けて、市町村が主体となって適切な経営管理を図ることとしている。

市町村が経営管理を図るためには、森林所有者をはじめとする関係権利者全員の同意が必要となるが、森林所有者の一部又は全部が不明な森林については、不明森林共有者や不明森林所有者は市町村が定めようとする経営管理権集積計画に同意したものとみなし、経営管理権集積計画を定めることができるという特例措置を設けている。

しかし、市町村に寄付の申し出をしても断られる場合が多く十分に機能していないのが実態である。

2019年4月から『森林経営管理制度』をスタート

 

出典:林野庁HP

そこで、林業の成長産業化の実現と森林資源の適正な管理の両立を図る、新たな制度が2019年4月から『森林経営管理制度』が始まった。

なんと日本の83%の市町村が、民有林の手入れが不足していると考えている状況であり、森林の適切な経営管理が行われないと、災害防止や地球温暖化防止など森林の公益的機能の維持増進にも支障が生じることとなる。所有者不明や境界不明確等の課題もあり、森林の管理に非常に多くの労力が必要になるといった事態が発生している。市町村のサポートを受けて、なんとか森林の適切な管理を進めようという取組みである。

所有している森林の場所が「わからない」

森林では、所有者の死亡後、相続登記がされないことで、林道の整備や間伐の実施などについて相続人の同意を得るにも連絡がなかなかとれず、管理上の問題となるケースが多発している。都市部に暮らす相続人は、相続した森林の所在すら知らないことも少なくない。

たとえば、石川県小松市が市内の森林所有者(市外・県外在住者を含む)を対象に2015年にアンケート調査を行った(発送総数/7367通、回答数2554通、回答率34.7%)。そのうち所有者の12.9%にあたる950個人・団体にはそもそも郵便が届かず差出人戻しとなり、所在が不明となっていることがわかった。
所有している森林の場所が「わからない」とする回答も570人(23.0%)に上った。

出典:東洋経済ONLINE

とにかく困っておられる地権者様が多い

林業を離れたご家族で、山林を受け継がれた方の悩みの深さに触れるにつけ、国内の林業の衰退具合が深刻であることを肌身で感じるとともに、森林資源の管理の難しさを実感する。

実際に、風車候補地としての利用をお願いする段階では、契約頂く方名義での登記が必要となるため、逝去されたご親族名義で登記された状態の土地について遺産相続の手続きが必要となる。

山の所有に関しては、「あの山は、〇〇さんの山だ。」ということは、地元の方々の間では周知の事実であり、積極的に林業等で活用されない場合、登記手続きを変更しなくても特段、不自由はない。いざ、登記手続きをやろうと思っても、多くの場合、住宅用地と違って、さまざまな場所に点在して複数の所有地があるケースが多く、その調査など非常に手間のかかる作業が必要となる。専門家に依頼するにしても、高額な費用が掛かるため、明確に土地活用の計画がないと、なかなか着手できないのが実状だ。

さらに、遺産相続の手続きにおいては、しばらく交流のないご家族との協議となることも多く、さまざまな問題に対処する必要がある。

そんな状況の中、我々のような第三者が間に入ることで、長年進まなかった手続きが決着できたと喜んで頂けることも多い。

『地域に寄りそう』 リアル・デベロップメントに相談して良かった!

地権者様の現状をじっくりお聴きし、司法書士の先生や、事業主様との間に入って、どういう形になれば皆が納得できる状態になるのか?
相続対象者の方の意見も、じっくりお聴きして、第3者の立場で互いの意見を交わしながら合意できる方法を導き出す。
それが、リアル・デベロップメントの地権者交渉(用地交渉)です。

長年の課題で、途方にくれた相続登記ができて大変喜んでいます!
お礼にとらやの和菓子を送ります、ご笑納ください。

そんなうれしいお言葉が、次の地権者交渉(用地交渉)への活力です。

最後までお読みいただきありがとうございます。

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