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山林の固定資産税の実状

金沢の風力開発プロフェッショナル集団
リアル・デベロップメント株式会社です。

今日は、『山林の固定資産税の実状』をご紹介します。

陸上風力発電所の候補地確保において、風況が良い適地を探した後は、
その土地の所有者様をさまざまな方法で調査していきます。

住宅地と違い、風力発電所の候補地となる山林においては、
公図の整備状況も実態とは大きく異なっており、
土地の所有者様を探す作業もいろいろな課題があります。

その調査過程で問題になるのが、
『相続されていない土地』です。

山林においても、その土地は登記簿で登録されています。

不動産登記の歴史

明治維新後、明治4年に廃藩置県が行われ、明治5年から土地売買の自由が認められました。

明治5年から、地券制度が導入され、土地譲渡があるごとに府知事県令は地券2通を発行し、正本を所有者に渡し、副本を地券台帳に綴りました。
建物の所有権移転や担保権の設定については公証制度がとられ、証文に戸長が奥書して、公簿と割印する方法がとられました。
その後、制度不備への対応と、登録税を取る目的で明治19年不動産登記法が制定されました。
明治22年、地券制度は廃止、土地台帳が課税台帳となり土地台帳付属地図、すなわち「公図」というものができました。

すなわち、不動産登記の歴史とは、課税の歴史なのです。

住宅地のように、公示価格や実勢価格が高い地域は、かなり厳密な測量により管理されていますが、山林や田畑等に関しては、公図の情報はかなりざっくりした状態になっています。
しかし、国は固定資産税を徴収するために、固定資産芸評価額をすべての土地に対して設定しています。

山林の固定資産税の事例

風車候補地の地権者交渉を進めていると、驚くほどに、
『現在は山林は使用していないが、固定資産税だけ払い続けている。』
という声を聞く事が多いです。

昔は、おじいさんの時代に、盛んに林業を営んでいた。
そのおじいさんが亡くなった後は、木材価格の急速な下落等によって、
誰も林業を継ぐ者はいなくなり、都会に出ていった。

山林の相続手続きは、相続税等の問題もあり、そのまま放置している。

それでも、どこかから調べてきた税務署から固定資産税の請求が届き、
該当地を聞いてもわからないとの理不尽な回答を受けながらも
固定資産税は毎年、やむを得ず支払っている。

そんな方が年々増加しているのが日本の現状です。

たしかに、山林の固定資産税は安いといわれますが、
その面積が大きければそれなりの固定資産税を毎年支払うことになります。

風車候補地の地権者様には、未相続の土地に関しては、
適切な相続手続きを、事業者負担で実施させて頂いています。

その際に、多くの被相続人の方は、すでに山からは遠ざかっており、
おじいさんの山林を相続してくれと言われても・・・。

固定資産税はどの程度掛かるんだろう?

という状態になります。

市街地の固定資産税路線価は、容易にネットでも入手できますが
山林については、正確な固定資産税は、市町村の税務課に個別に問合せる必要があります。

しかし、個人情報管理が年々厳しくなる中、所有者にしか情報開示されないため、めんどくさいと敬遠されがちです。

山林の固定資産税の実例

今回、石川県能登地方の山林の固定資産税の実例を参考情報としてお見せします。

7,656㎡で1,624円/年。
76m×100mくらいの山林の固定資産税はこのくらいです。

この地権者様も、このような山林を多く所有されており、
固定資産税課税明細書が33枚も毎年送られてくるそうです。
チリも積もればで、かなりの税額になっています。

相続時は、特定の土地のみの相続ができないため、
すべてをまとめて相続することによる問題が多くあります。

山林の土地の固定資産税についてご心配されている方の参考になれば光栄です。

山林の相続問題は、登記が明治時代のままといった事例も多く、非常に複雑になるケースもあります。

相続に関しては、また別の機会にご紹介させて頂きます。

いつもお読みいただきありがとうございます。

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